林亮介/結城さくや『迷宮街輪舞曲』1巻

はてなダイアリー上で発表された異色ウィザードリィ小説『和風Wizardry純情派』の漫画版。
原作の方は大変好きな作品なので買ってみたのだけど……これはこういう「いかにもファンタジー」な絵柄ではやってほしくなかったなあ。
俺は小説とか漫画って現実世界と地続きである必要はないと思ってるけど、でもこの作品に関しては、地続きな感じが――地続きなんだけど半歩はみ出してる感じこそが面白さだったと思う。
コンビニも居酒屋もブックオフもあるけれど、昨日会ったばかりの人が次の日には死んでたりするようなことがあたり前な街。そこに読者の我々と同じような死生感で生きてきた主人公が飛び込んで、急速に自分の感覚が変化していくことに戸惑ったり適応したり反発したりする、そういう青春小説的な感情の揺れのリアルさが、これまでのウィザードリィ小説にはなかったところなわけで。
でもこの漫画だと、舞台が現代の京都であっても、フツーに異世界な感じに見えてしまう。
やりよう次第ではもっと広い射程を持ちうるものになったはずなだけに、残念。
はてなダイアリー版は今でも読めるので、ぜひご一読を。
小説版、商業出版で出ないかなー。

迷宮街輪舞曲 1

迷宮街輪舞曲 1