伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 文庫
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日本では珍しい、肩の凝らないライトなクライムアクション。四人のキャラクターもそれぞれユニークで素晴らしいんだけど、ただの与太話に見えた小ネタが終盤ですべて伏線として利いてくるあたりの構成の巧さがお見事。
ただ気になるのが……キャラクターをムリに「フツーの人」に描こうとしてるところ。「嘘をすべて見抜ける」とか「精確な体内時計を持っている」とかアホな設定をしてるんだからもっとキテレツなキャラクターにしてしまった方がもっと面白かっただろうしそれができる作家だと思うんだが、なんかそこいらへんをわざわざ抑制してしまってる。
それには理由があって、解説によると、デビュー作ではもっとキテレツなキャラクターを書いてたんだけど、「こんな荒唐無稽な話があるか」と批判されちゃったんだそうだ。解説者は「いやバカバカしいところだけじゃなくてちゃんと現実社会も投影されてるじゃん」とフォローしてるんだけど、いやそのフォローの仕方もどうなのよ。小説は現実社会と地続きじゃなきゃいかんのか。
そういう話を聞くと、やっぱりライトノベルの方がまだ自由なのかもしれんなあと思ったり思わなかったり。