福野礼一郎『バンザイラン』

80年代初頭、東名高速で実際に行われていたという(ホンマかいな)チューンドカーによる無法レースを題材とした小説。主人公は借金して手に入れた中古のフェラーリ365GT4/BBで王者小田島のポルシェ911ターボに挑むが、スペックでは劣るはずのポルシェにあっさりぶっちぎられる。そこから暴走族上がりのメカニックと組んでのチューニング大作戦が展開されるのだが、ターボどごーんとかニトロどかーんてのではなく、タイヤのアライメント取りやらガスの混合比調整やらといった地味ぃなところからじわりじわりとBBの本領を取り戻していくあたりがスゲェ燃える。でまたどこか投げやりで自嘲的に生きてきた男どもがこの馬鹿げたレースにのめりこんでいくうちに徐々に変わっていってしまうあたりがまた燃えるつーか泣ける。

バンザイラン―狂気撃走小説

バンザイラン―狂気撃走小説