『花よりもなほ』

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藤沢周平原作の時代劇。監督は『誰も知らない』の是枝裕和
劇場用予告篇を以前なんかで見て、ちょっと面白そうだったのだよね。
貧乏長屋が舞台なんだけど、その長屋の風景がもう長屋って言うよりはほとんど貧民窟で。しかもそこに住んでるのが木村祐一とか上島竜兵とか古田新太とか、なんとも貧乏臭い面構えの連中ばっかり。でもそれがなんかやけに楽しそうな雰囲気で。
それで主人公は岡田准一演じる仇持ちの若侍なんだけど、こいつが剣の腕がからっきしで、しゃーねえからこの貧乏長屋の連中がなんとかしてやろうという話らしい。そういう、ボンクラ連中が力合わせてなんかする話って、大好物なのです。
で実際見てみたわけなのだけど、貧乏長屋の雰囲気は期待通りステキだった。石橋蓮司原田芳雄遠藤憲一なんかもすごくいい味出してて。ただ、ストーリー的にはいまいち。
「敵わぬまでも恨みの一太刀、桜のように潔く散るのが武士の生き様!」と意気込んでた岡田准一が、いろんな人々との触れ合いの中で違う生き方を見つけていく。その様子を赤穂浪士の討ち入りと対比させつつ描くというコンセプト自体はけっこうよかったと思う。だけどこれがさっぱり盛り上がらない。細かいエピソードを淡々と重ねていくだけで、最初はいいんだけどどんどんダレてくる。劇的構成ってのがさっぱりなっちゃいない。
原作がどういう作りなのかは知らないけど、組み立て次第でいくらでも面白くなったはずなのに。ドラマチックに組み立てることが情緒を殺すとでも勘違いしてるんじゃないだろうか。
ほんとこういうのが人情話系の日本映画のダメなとこだと思う。