『時をかける少女』

控えめに言っても傑作。あんまりフツーに傑作なので、気の利いたことが書きにくくて困ったなどうにも。
俺は原作の小説も原田知世の出てた実写映画版も見たことがないので、どこまでが原作の功績で、どこからが細田守の功績なのかは分からないけど、逆に言やあそれらの作品をまったく知らないでも楽しめるってこった。
お話は、前半はなんかドラえもんみたいな感じ。高校生の女の子がひょんなことからタイムリープする能力を身につけて、調子に乗ってそれを使いまくるわけだ。その使い方が、一時間の料金でカラオケ十時間分歌うとか、三日前に食べた焼肉をもっかい食べに戻るとか、ほんとにのび太レベルの発想なのが素晴らしい。
でもって当然そのうちしっぺ返しを食らう。時間が戻ればすべてが元通りになるわけじゃない。少なくとも「その先」を知ってしまったことで真琴自身は不可逆的に変わっている。そして真琴は「その先」を知っているからどのようにも選択することができるけど、すべてのフラグを同時に立てることはできないし、時間を止めることもできない。あらゆる可能性の中から真琴は一つだけを選び、「その先」へと進んで行かなければならない。
とまあそんな話。

この真琴ってキャラがとにかく生き生きとしていていい。全力疾走フル回転。これだけ観客の心をまるごとわしづかみにして引きずり回せるアニメヒロインが近年あったであろうか。夕暮れの土手で金属バットかついで高笑いするシーンとか素晴らしい(←そこかよ)。
というわけで、明朗快活青春映画がキラいなひねくれ者以外はぜひ見てください。
しかしなー、なぜか東京では一館でしか上映してないんだよなー。信じられないよ。なんとかしてくださいよ角川さん。

(追記)
とか書いてたら上映館が増えたようだ。
http://www.kadokawa.co.jp/blog/tokikake/2006/08/post_71.php