えすのサカエ『未来日記』

勢いでもって現在連載中のこちらも読んでみる。ちょうど2巻が出たところらしい。
花子と寓話のテラー』はジャンプの『魔人探偵脳噛ネウロ』と非常によく似た話だなあと思ったのだが、こちらはかなり『デスノート』っぽい。しかし厳密なルールによるゲーム的な殺し合いの面白さがあまり発揮されておらず、由乃の電波っぷりを楽しむ普通のサイコミステリになっちゃってる感がある。
でも爆弾テロリストガール(2巻の表紙の子ね)が大変かわいらしいので、続きも買ってしまうと思われ。

未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))

未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))

未来日記 (2) (カドカワコミックスAエース)

未来日記 (2) (カドカワコミックスAエース)

えすのサカエ『花子と寓話のテラー』

すでに完結してる作品なんだけど漫画喫茶の新刊コーナーになぜか1巻だけ置いてあって読んでみたらばこれがなかなか面白かった。そんで速攻本屋行って全4巻まとめて買って、何度も何度も読み返してしまった。
トイレの花子さんとか口裂け女とか都市伝説を題材にした伝奇ホラーミステリ。それ自体はいまさら目新しいものではないが、なんとも言えぬ不穏なイメージに満ちている。怖いとか恐ろしいとおぞましいというのではなく、「この世に確かなものなど何もないのではないか」という強烈な不安感を感じさせる、シュールで奇怪なイメージ。
京極夏彦や『トワイライト・シンドローム』が好きな人にはオススメ。もっとも、開いた口が塞がらないような馬鹿馬鹿しいギャグに突然走ったりもするのだが。
しかしさらに凄まじいのが最終巻。いきなりメタフィクションというか、つかこうへいの『熱海殺人事件』のような様相を呈しはじめる。「『花子と寓話のテラー』という寓話」を自分の都合のいい結末に導くため、それぞれの登場人物が好き勝手な設定を語り始めるのだ。
この作品の中では、いかに根も葉もない都市伝説であっても、誰かが「本当かも」と思った時点でそれは現実になってしまう。逆に「そんなことありえない」と思われたら現実も都市伝説と化す。この互いの存在を賭けたペテン合戦がメチャクチャ熱い。しかもそれがまた「人は現実を生きていくためには子供っぽい幻想とは訣別しなけりゃいけないのだよ」VS「いやいや子供っぽい幻想を抱えているからこそ人は現実を生きていけるのだよ」という、ビルドゥングスロマンの理念型を巡るバトルになってるのだから素晴らしい。

花子と寓話のテラー (1) (角川コミックス・エース)

花子と寓話のテラー (1) (角川コミックス・エース)

花子と寓話のテラー(2) (角川コミックス・エース)

花子と寓話のテラー(2) (角川コミックス・エース)

花子と寓話のテラー (3) (カドカワコミックスAエース)

花子と寓話のテラー (3) (カドカワコミックスAエース)

む。なぜか4巻がない。

篠房六郎『ナツノクモ』7巻

ナツノクモ 7 (IKKI COMICS)

ナツノクモ 7 (IKKI COMICS)

今回はクロエと姐御の熟女バトルが軸。この人の書くキャラはほんとどいつもこいつも人格がねじくれてていいですな。

石黒正数『それでも町は廻っている』2巻

それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)

それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)

表紙だけ見りゃどう見たってメイド喫茶漫画なのに、掲載されている8エピソードの中でメイド服が登場するのが2エピソードしかないという見事な羊頭狗肉っぷり。狗肉万歳。
しかしこの人は子供目線の話を書くのがうまいね。
あと、帯を小原慎司が描いているのだけど、そーいや『菫画報』とノリがそっくりだ。

宮下裕樹『正義警官モンジュ』3巻

正義警官モンジュ 3 (サンデーGXコミックス)

正義警官モンジュ 3 (サンデーGXコミックス)

最近神谷さんのマッドサイエンティスト度がめっきり下がってきて寂しいですね。

くぼたまこと『天体戦士サンレッド』3巻

ここまで面白くなるとは正直思ってなかった。もう正義の味方とか悪の秘密結社とか関係なく、ショボくれた下流な都市生活のスケッチとして面白い。21世紀の『大東京ビンボー生活マニュアル』と化してる。
しかし核はマズいよ。核は。