林亮介/結城さくや『迷宮街輪舞曲』1巻
はてなダイアリー上で発表された異色ウィザードリィ小説『和風Wizardry純情派』の漫画版。
原作の方は大変好きな作品なので買ってみたのだけど……これはこういう「いかにもファンタジー」な絵柄ではやってほしくなかったなあ。
俺は小説とか漫画って現実世界と地続きである必要はないと思ってるけど、でもこの作品に関しては、地続きな感じが――地続きなんだけど半歩はみ出してる感じこそが面白さだったと思う。
コンビニも居酒屋もブックオフもあるけれど、昨日会ったばかりの人が次の日には死んでたりするようなことがあたり前な街。そこに読者の我々と同じような死生感で生きてきた主人公が飛び込んで、急速に自分の感覚が変化していくことに戸惑ったり適応したり反発したりする、そういう青春小説的な感情の揺れのリアルさが、これまでのウィザードリィ小説にはなかったところなわけで。
でもこの漫画だと、舞台が現代の京都であっても、フツーに異世界な感じに見えてしまう。
やりよう次第ではもっと広い射程を持ちうるものになったはずなだけに、残念。
はてなダイアリー版は今でも読めるので、ぜひご一読を。
小説版、商業出版で出ないかなー。
- 作者: 結城さくや,林亮介
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: コミック
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あれだ、DMCブームがなんでムカつくかが最近ようやく分かってきた。
つまり「お前らDMCが好きなのか? それともクラウザーさんが好きなのか?」ということだ。
DMCという作品自体は、確かにそこそこ面白いと思う。でもあの異常な盛り上がりって、DMCブームというよりはほとんどクラウザーさんブームだろ? で、クラウザーさんというキャラクターがそんなに面白いかってのがね。ああいう過激なメタルキャラなんて昔っからあるだろ。
DMCが面白いのは根岸の素のキャラとのギャップがすごいからで、むしろああいう「オシャレポップ好き」というキャラをギャグとして成立させたことの方が評価すべきだと思う。
だからそのアレだ、ハンカチ王子ブームがムカつくのと感じとしては近い。「確かに斉藤はすごい才能だけど、ハンカチはどーでもいいだろー。あれだけすごい試合見せられておいて、食いつくのそこかよオイ」ってゆー。あそこまで内容と無関係ではないにしても。
しかし2巻が出てもっと盛り上がるかと思ったら、逆に沈静化した感じだな。まあ2巻つまんなかったしな。ギャップで笑わせるギャグって寿命が短いからそろそろ他の見せ方をいろいろ考えてかなきゃなんないのに、むしろ根岸の素のキャラが後退しちゃって、クラウザーさんがあいかわらずファックファック言ってるだけだもんな。ファック。
『えの素トリビュート』
半分以上のページはただの「えの素傑作選」なので単行本コンプしてる人にはあまりお得ではないが、それでも寺田克也や鶴田謙二や芦名野ひとしの描く葛原さんが見られるというだけで許せてしまう自分が許せん。
えの素トリビュート えの素トリビュート&他薦傑作集 (KCデラックス)
- 作者: 榎本俊二,ゆかいな人びと
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/23
- メディア: コミック
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広江礼威『ブラック・ラグーン』6巻
佐藤大輔/伊藤悠『皇国の守護者』4巻
相変わらず見事としか言いようがない。ここまで作品の本質を正確に捉えた漫画版を描かれるということは、原作者にとってはもはや恐怖に近いんではないかという気すらする。
しかし原作の方はどうするつもりなんかねぇ。
- 作者: 伊藤悠,佐藤大輔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11/17
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こう漫画の話ばっかなのもどうかとは思うんだけどね。